気密性能の良し悪しは、特別な気密工事を施すかどうかによって決まります。実際の工事の違いを、写真を比較して見てみましょう。気密工事を実施していない一般的な工事が、左の写真で、気密工事を実施している現場が右の写真です。写真を見ると、左の住宅では、壁の中なの断熱材は、途切れ途切れになっているのに対して、右の場合は、気密シートによって全体を隙間なく覆っている様子がよくわかると思います。こうした気密工事と、高性能な断熱材とを組み合わせたのが、高断熱・高気密と呼ばれる住宅です。
国では、省エネルギー対策として、この気密性能を推奨基準値として○○年より、新省エネルギー基準として定めました。その基準では、気密性能は隙間相当面積という数値で評価されます。これは、床面積1㎡当たりの隙間面積を表し、国の基準では、隙間相当面積5cm2/㎡以下を気密住宅として認定しています。ですから、たとえば総床面積100㎡の家の場合、床壁天井のありとあらゆる隙間を集めて、合計で500cm2以下だということです。これは、25cm×20cmくらいの隙間で、ちょうどA4用紙より一回り小さいくらいの大きさに相当します。
この隙間の大きさが、国が推奨する気密性能ですが、私の経験では、この性能は、もっと高い方が、快適性能は高く感じます。気密性能は、2cm2/㎡を切るくらいだと、序文で紹介した「寒さがない」といった感覚が得られる、驚くほど快適な家になるように思います。床面積100㎡の家で大体はがき1枚分の隙間にまで気密性能を高めた家です。
気密性能が高い住宅かどうかは、その住宅をつくった会社の技術力によって左右されます。高い気密施工能力をもった会社は、自社で工事をするたびに、都度、気密測定によって、その成果を確認し、その都度自社の施工方法の改善を図りながら、独自の気密工事の技術を熟練させています。
ですので、みなさんが気密性能の高い技術力のある施工会社を選ぶためには、過去に気密測定を実施した実績があるか?測定したことがあるなら、その性能値は、どれくらいだったのか?をお尋ねするといいと思います。場合によっては、完成後、気密測定の実施をしてもらえるようにお願いするといいかもしれません。そうしたことを引き受けることができる会社は、自社の気密施工能力に自信があるはずです。