第9回に引き続き、改善編をご紹介します。
テクニック⑤ 天井の遮熱性能を高める
夏の日射により焼けこんだ屋根面からの熱を天井面に伝わらないようにするためには、工事が必要となりますが、天井の断熱性能を強化する方法があります。
【改善策3 壁の表面温度を下げる】
ここまでは、自己診断によって、表面温度を高くしている要因を特定し、その温度を高くしないための改善策を講じる方法をお教えしました。次に、積極的に室内の壁面の表面温度を低くする手法についてお教えしたいと思います。
テクニック⑥ 寝るとき窓を開ける
積極的に室内の表面温度を低くする方法は、いたって簡単です。寝るときに窓を開けておけばいいのです。当然、防犯の備えが必要となりますので、わが家では、きっちりと鍵のかかる格子戸を備えたり、人の入ることのできない小窓を各所につけたり、防犯しながら通風できる工夫を随所に取り入れています。
なぜ、寝るとき窓を開けておくのかというと、それは、夜間の冷気を室内に取り込むためです。
日中30℃を超えるような日でも、夜になると外気温は、下ります。私の住むエリアでは、最近、熱帯夜という夜に25℃以下にならない暑い日が増えていますが、それでも、よほど暑い日は別として、深夜には26℃くらいには下ります。その冷気を室内に取り込むのです。
さて、ここが重要な点なのですが、夜間の冷気を取り込む目的は、室内の気温を下げることではないのです。その目的は、「蓄冷(ちくれい)」にあります。わが家は、コンクリートでできていますが、コンクリートなどの素材には、熱を蓄える力があります。夜間の冷風によって冷やされたコンクリートの壁や天井は、その冷えた熱を蓄えて次の日まで、その冷熱を持ち越します。こうした現象を「蓄冷」といいます。
夏の後半になると、日中は30℃を越しても、夜はかなり気温が下がり、窓を開けたままだと寒く感じるような日が多くなってきます。そういう日こそ、この蓄冷効果が期待できます。その効果を引き出すためには、たとえば、こんな具合です。
夜に食事をしたりくつろいだりしているとき、寒ければ、リビングの窓は閉める。寝るときは、風邪を引かないように寝室の窓はしっかり閉めて、リビングの窓は開けるのです。風邪が引きそうなくらい寒い夜こそ、リビングを冷やすのに最適なのです。そして、その冷えた熱は蓄冷により、次の日の日中に活かされるのです。
家の建築を計画するときは、こうした夜間通風のための防犯の仕掛けを検討することは、大変重要です。では、特別な防犯の備えがない今住んでいる家では、どうすればいいのでしょうか。
たとえば、こんな工夫があります。金物屋さんなどに行くと、窓のサッシに付けることのできる防犯用の補助錠が売っています。これを使うと、窓を15cmくらい開けた状態で、それ以上は開けられないように固定することができます。そうした補助錠などを活用して、複数の窓を少しずつ開ける工夫をするのも有効です。但し、防犯性能が担保できるかどうかは、ご自身で判断して実施するようにしてください。
次回も引き続き改善策2、3をご紹介します。