環境統合デザイン論は、『体感的な価値(快適さ)』を追求することで、
『CO2削減』と『都市環境再生』とを両立させる、建築デザイン論です。
どちらも全く同じ温度なのに、どうして体感は全く違うのでしょう?
私たちが感じる「暑い」「涼しい」といった『体感』は、温度だけによって決まるのではなく、私たちの身体とその身体を取り巻く環境との相対的な関係によって生まれます。この環境との関係を意図的にデザインして快適さを実現させる理論が、「環境統合デザイン論」です。
環境との相対的な関係によって『体感』をつくりだそうとするとき、住まいの周りには、活用することのできる環境要素がたくさんあります。こうした環境要素を統合するシステムとして、住環境を構築する。それが私たちの目指す低炭素都市づくりの基本です。
省エネ技術やパッシブな建築デザインのそれぞれを担う専門領域が単独で効率を追求する足し算型の発想を脱却し、微気候(*)を形成する造園計画、建築計画、そして設備計画までを連携させた、掛け算型の協働プラットフォームにより、豊かな低炭素都市づくりの実現を可能とします。
注釈)「微気候」:たとえば、周辺に川や屋敷林などがあれば、その影響によって、広範囲の気候とは異なる温度や湿度、風の流れが生まれます。こうした周囲の環境の違いによって生まれる局所的な気候を微気候といいます。