森をつくる住まいづくり

「住まい」から「まち」へ 「都市」から「森」へ

  1. ホーム
  2. 実績
  3. コーポラティブ住宅 経堂の杜

実績

経堂の杜

世田谷に森をつくって住む

相続後の土地活用として、「緑を残したい」という思いからスタートしたプロジェクト。樹齢150年を超える5本の大ケヤキを「天然の空調装置」として活かし、エアコンなしでも快適な暮らしが実現している。



世田谷の真中で森に囲まれて生活できるとしたら・・・。そんな都市居住における環境共生を目指した、コーポラティブ集合住宅が2000年4月に実現しました。それが、株式会社チームネットが、手がけた最初のコーポラティブである『経堂の杜』です。

『経堂の杜』は、パッシブデザインという手法で、環境共生を実現しています。パッシブデザインとは、太陽の熱や光、風、夜間の冷気など自然の恵みを住まいに取り込み、自然の力で室内環境の快適化を図るものです。
このパッシブデザインが有効に機能するためには、外に十分な環境ポテンシャルがあることが重要になります。 たとえば、樹木には、強風を穏やかな風に変えたり、夏の強い日差しを和らげたり、根が地下水を汲み上げ、葉から気体を放出することでクーラーと同じ役割を果たすなどの効果があり、樹木は本来「自然の空調装置」としての機能が備わっているのです。

しかし、世田谷のように地価が高く、宅地が細分化され、自然の要素がどんどん失われている地域では、自分の住まいの周辺に樹木を十分に確保することは困難になっています。パッシブデザインを十分に機能させるためには、建物のプランを考える前に、樹木を中心とした外の自然環境を積極的に整えることが必要となります。そうした発想から、「世田谷に森をつくって住む」という考え方が、『経堂の杜』の基本的な事業コンセプトとなりました。

「経堂の杜」におけるパッシブデザイン

『経堂の杜』における、外と建物におけるパッシブデザインの計画要素は、それぞれがつながることで最大のポテンシャルが形成されるように計画されています。また、その効果についても調査研究が行われました。

(1)外環境のパッシブデザイン
樹齢120年という5本の巨大なケヤキを保全する。
敷地南側に確保された空地には、落葉樹を中心に植栽する。
東西面の壁面緑化と南面のパーゴラを利用した緑化により、建物全体を緑で覆う。
屋上の緑化を行う。(土厚40cm)
北側のケヤキ
こうした緑化計画によって建物全体が緑ですっぽりと覆われる小さな森がつくられ、その緑のボリュームは、穏やかな微気候環境(環境ポテンシャル)を作り出します。
この微気候環境は、建物のパッシブデザインによって、各住戸へとつながっていきます。

(2)建物のパッシブデザイン
冬の日射を考慮し懐の深い共用庭を南側に配した建物の配置。
夏の風の取込みを考慮し建物を2棟に分割し風の道をつくる。
冬の日射と夏の夜間冷気を躯体へ蓄熱させるための外断熱構法を採用する。
全戸ペアガラス使用による断熱性能の向上を行う。
夏の夜間冷気の十分な活用のため、防犯ガラリ戸などの工夫を行う。

以上のように、積極的に整備された「自然環境」と、パッシブデザインを考慮した「建物」とが一体となって、全体として一つの大きな「自然の空調装置」として機能するように計画されている点が「経堂の杜」の環境共生の特徴です。


自然の空調装置イメージ図
パーゴラ

「経堂の杜」のパッシブデザインによる効果

夏の実測結果
建物周囲には、緑化空間が設けられ、各方面からくる日射と放射熱をさえぎっています。また、北側には樹齢120年のケヤキが5本あります。
このケヤキは、敷地内に冷気を供給する役割を果していて、実際に5度近くも低い空気を供給していることがわかりました。

また、外気温が35度の時でも、徹底した日射遮蔽と放射熱のコントロールによって、室内においては、クーラーなしでも27度で快適にすごせるという結果がでています。実際、『経堂の杜』に事務所を構えるチームネットでも、クーラーなしで健康で快適に仕事を行っています。実際に、『経堂の杜』を訪れる誰もが、緑に囲まれた敷地内での涼しさに驚きます。
実測結果グラフ

環境共生型コーポラティブ事業化のポイント

「世田谷に森をつくる」という事業コンセプトを実現するためには、前述の環境投資を全体の中に取り込んで事業化することが重要になります。この環境投資費用を捻出するために、『経堂の杜』では、2つのポイントがありました。

共有化による空間の有効利用
緑化スペースの確保のために、12世帯によるコーポラティブ方式によって環境投資の対象となる空間の共有が行われました。こうすることによって、個人単位の投資額を低く抑えながら、個人単位では得られない環境価値を最大にすることが出来ています。


「つくば方式」の採用
もう一つのポイントは、「つくば方式」の採用です。「つくば方式」とは、定期借地権の一種である「建物譲渡特約付借地権」を応用し、耐久性のある「スケルトン住宅」を建てる新しい住宅供給方式です。この方式では、入居者は土地を購入する必要がないため、資金的なゆとりが生まれ、その資金を環境投資に回せることができるのです。
また「つくば方式」は、契約終了後(今回の場合60年後)に建物を壊さずに地主に譲渡できるので、竣工時に整備された住環境は、長期にわたり良好な環境のストックとして保全され、次の世代の利用者へと受け継がれることができるのです。
詳細は『スケルトン定借普及センター』HPをご覧ください。外部リンク

コーポラティブからコミュニティ・ベネフィットへ

『経堂の杜』は、個人単位では実現できない自然環境からの恵みを得ることを目的に、コミュニティを手段として位置づける事業手法が、これまでのコーポラティブ事業とは一線を画していて、ユニークなプロジェクトであるといえます。

株式会社チームネットは、この個人の力だけでは実現できない価値を実現するために、「個人の利益」を「複数の利益」へと高める事業コンセプトを、「コミュニティ・ベネフィット」と名付けています。
『経堂の杜』では、このコンセプトを取り入れることで、個人単位では実現しえない「自然の空調装置」を構成する豊かな緑環境を、得ることできました。

竣工から数年経た『経堂の杜』は、緑も大きく成長しました。 そしてコミュニティも成長し、魅力あふれる建物になっています。
コミュニティベネフィット図

 

↑ページトップへ